羊歯と骨 | Fern and Bones

 


 

1941年ごろ、動物園で象の飼育係をしている細井は、陸軍に応召し南方作戦に従事する。作戦中、細井はジャングルで、銃と象の声で鳴く鳥に出会う。このジャングルこそ動物園の象の故郷であり、この鳥こそ象の出自を蓄音し再現する者だった。象の出自から帝国の植民地主義を垣間見た細井は、英空軍の奇襲により負傷、夢現のまま帰国する。
命からがら帰国した細井を動物園で待っていたのは戦時猛獣処分だった。象の出自を知る細井は、象を動物園から連れ出し、深い森の中に匿うのだった。
時代は変わり、戦争を知る最後の世代が既に年老いた頃、私は盆休みを使って帰郷する。祖母から生前の祖父の話を聞き手記を手にした私は、祖父の墓のある山で象牙を見つけ、象と細井の事の顛末を幻視する。

映像・音声:寺本遥 / 2022年 / 7’29”