おうち
京都市立芸術大学 大ギャラリー
2018年05月15日(火) – 18日(金)
09:00 – 17:00
プライベートな場である「おうち」では、
しばしばローカルなルールや手つづきが生まれます。
たとえば、
「ここはこの人のスペースだから声をかけてから入ろう」とか、
「犬のえさはその時にあげられる人があげる」とか、
「カレーを作るときはこの具材をさきに入れる」などです。
それらはプライベートな場の外から見ると、よく分からなかったり、
なくても良いものに見えたり、そもそも外からは見えなかったりすることもあるでしょう。
だからといって、その決まりはないものにはならないし、
やはり、外のルールとは少し違うものです。
だから、
「うち」のルールが「そと」に迷い出たり、
「そと」のルールが「うち」を圧迫したり、
だれかの「うち」のルールが他のだれかの「うち」を侵してしまったりしたら、
そこにいる人たちは、居心地の悪さを感じてしまうかもしれません。
そんな時、わたし達はどんな態度で、どのようにして、
居心地の悪さと向き合えばいいのでしょうか。
それぞれのルールをひとつひとつ丁寧に見極めることは、
とても大事なことなのではないかなと、わたし達は思います。
森菫 寺本遥 清水花菜 宇野湧
シェアハウスで同居している4人が展示を企画することになり、4人で共同生活をおくるうえで取り組んできた身近なことがらをテーマにしようと決めた。
4人の共同生活や、誰かと「共に暮す」こと一般についての分析から発想することに決め、何回も話し合いを経て「調停・折り合い」「レシピ(料理から発想した)」「間取り」という重要なキーワードを得た。
その後、共に暮らすためのきまりをレシピにすることになり、各自が持ち寄った材料を全員で調理した。
大ギャラリーという場所の特性(鑑賞者はかならず復路をたどらなければならないことや、オフィス・資料館・教室・ピロティと隣接していること、展示空間を間借りすることになることなど)を考慮しながら展示を構成し、設営した。
犬のスピカに言及することで、「絶対に考えていることがわからない存在」を提示できると考え、レシピをつくり、大学に招いた。
スピカのレシピをつくることは、「犬にとってはどうだろうか」という想像力を4人に要求した。このことは、人間の間においても重要な「理解・共感不可能性」と「想像すること」の2つの概念を作品に含めることへの大きな手助けとなった。